接着治療

接着治療(せっちゃくちりょう)とは

白い歯・セラミック治療において、「接着治療」とは、歯(歯質)と人工の歯科材料を、しっかり接着することができる「接着性レジン(歯科用接着剤)」を使用して、修復治療(詰め物や被せ物の治療)をするものです。従来の治療法と比較し、歯(歯質)を削る量を最小限に抑えることが可能となります。

従来の治療の場合

従来の治療では、むし歯を削った後に金属の詰め物をする場合、「セメント」と呼ばれるもので、歯と金属の詰め物のすき間を埋める方法を取っていました。しかし、「セメントには接着力がない」ことから、歯から金属の詰め物が外れてしまわないようにするために、歯を大きく削って、金属の詰め物をはめ込めるようにする必要があり、小さなむし歯の場合にも、むし歯の部分だけでなく、他の健康な部分の歯も余計に削ることになっていたのです。

従来の金属による治療法では詰め物をはめ込むために、健康な歯質も大きく削る必要があります。

接着治療の場合

接着治療では、「金属の詰め物を歯にはめ込んでセメントで固める」といった方法ではなく、歯科用接着材を使用して、歯(歯質)と人工の歯科材料を、しっかりと「接着固定」しますので、従来の治療方法と比べて、歯を大きく削ることなく、他の健康な歯質への侵襲は最小限度に留めることが可能です。

接着治療では十分な接着力と強度が得られるため、最小限に削るだけで治療ができます。


従来の治療に発生しやすい「二次むし歯」のリスク

従来のセメント(接着力は無い)でインレー(詰め物)を装着した場合と、歯科用接着剤(接着力がある)でインレー(詰め物)を装着した場合を比較すると、従来のセメントの場合は、唾液で溶け出し、歯と修復物の間にすき間ができてしまい、そこから菌が入り込み、二次むし歯(二次カリエス)が再発するリスクが出てきます。対して接着治療の場合は、歯と修復物の間は、すき間なく接着されていますので、菌が入ることなく、二次むし歯になりにくいという特徴があります。

従来の方法はセメントによる「合着」。接着されている訳ではない。

セメントが唾液により溶け出す。出来た隙間から細菌が侵入し「二次カリエス(むし歯)」ができる。


「エッチングADゲル法」について

例えばレジンなどの人工の歯科材料は、歯を削った後に、そのまま接着治療を進めても、あとから剥がれやすくなってしまいます。そのため、接着治療にあたっては、人工の歯科材料と天然の歯の削った部分がくっつかなければならないため、削った天然歯側の接着面の処理が大切になります。当院では「エッチングADゲル法」を行っています。


⓪ エッチングADゲル法を行う前の歯を削った部分の状態

エッチングADゲル法をする前の歯を削った部分の状態は、「スメア層」といって、歯を削る時の歯質の切削くずなどによる層ができています。


①エッチング処置

スメア層があるままだと、接着治療を行っても、修復物が歯質にしっかり接着せず、剥がれてしまう原因になります。このスメア層を除去するための処理のことを「エッチング(脱灰)」と言います。接着治療では、まずはこのエッチングを行い、エナメル質や象牙質の削った部分の表面をデコボコした表面性状に変えます。


②ADゲル処置

接着治療で重要なのが「プライミング(浸透)」という処置です。プライミングでは、デコボコさせた部分にレジンを流し込み、かみこんだ状態にするとともに、樹脂含浸層を形成させます。この樹脂含浸層が天然歯の削った部分の面と、人工の歯科材料とが接着されることを取り持つ格好になります。
当院では、「ADゲル」を用いています。前述のエッチングだけでは、スメア層が除去されるのみで、象牙細管内に有機物が残ってしまい、接着剤の象牙細管内への入り込み(レジンタグの長さ)が少なくなってしまいます。そこで、ADゲルを使用することで、象牙細管内の有機物も除去することができ、接着剤の象牙細管内への入り込みが、エッチングだけの場合と比べて、およそ10倍近く深くなり、このことで、プライミング時の嵌合力がとても強くなります。つまり天然の歯の削った部分と接着剤料とのくっつく力が著しく強くなるのです。


③パナビアフルオロセメント(パナビアV5)による接着修復処置

セラミックの修復物をパナビアフルオロセメント(パナビアV5)で接着します。このとき、エッチングADゲル法によってスメア層を除去し、象牙細管内の有機物も除去しておいたことによって、より長いレジンタグを形成して、歯質としっかりとかみ合った形でセメント層を作りながら、セラミックと歯質がしっかり接着します。


「パナビアフルオロセメント(パナビアV5)」について

当院では、接着治療に「パナビアフルオロセメント」を採用しています。パナビアフルオロセメント(パナビアV5)は、接着治療に用いる「接着性レジンセメント」で、光硬化特性が高く、特殊処理フッ化ナトリウムが配合されており、フッ素イオンが歯質中の微量水分によって遊離して、歯質に移行し、耐酸性層を形成します。

パナビアフルオロセメント(パナビアV5)。

パナビアV5の特徴として「高接着」があげられます。


「メガボンドFA」について

当院では、接着治療にパナビアフルオロセメントだけでなく、「メガボンドFA」も採用しています。メガボンドFAは抗菌性を備えた歯科用接着剤(抗菌性モノマー配合接着システム)として世界で初めて実用化されたものです。未重合時の即時殺菌作用と、重合固定化後の静菌作用の両方を発現する「抗菌性モノマーMDPB」が配合されています。

クリアフィル メガボンドFA。

2つの特徴で長期的に安定した接着の維持を実現。


セラミックの「割れやすい」を解決して治療した歯を長持ちさせる「接着治療」

保険治療の銀歯と違い、白い歯・セラミック治療におけるセラミックの歯は、とても見た目を美しく仕上げることが可能ですが、力の加わり方によっては欠けやすいという特徴があることも事実です。

櫻井歯科医院で行っている「接着治療」では、白い歯・セラミック治療におけるセラミックの歯を歯の削った部分にしっかりと接着することで、この欠けやすさを解決しています。 またしっかりと接着する事から、治療した歯長持ちさせることが出来るというメリットもあります。